所得税についてよくあるご質問(FAQ)

Ⅰ 所得税の基本

Q1. 所得税はどのような手順で計算されますか?

A1. まず1年間(1月1日~12月31日)の各種所得(給与・事業・不動産・譲渡など)を合計し、「所得控除」(医療費控除や配偶者控除など)を差し引いて課税所得金額を求めます。次に課税所得に所得税の累進税率(5%〜45%)をかけ、復興特別所得税を加算します。その後、住宅ローン控除などの税額控除を差し引き、源泉徴収や予定納税額を精算した残額が納付(または還付)税額です。

Q2. 所得控除と税額控除はどう違いますか?

A2. 所得控除は、医療費控除・社会保険料控除・扶養控除などのように、「所得金額から差し引く」制度で、課税所得を小さくすることで間接的に税額を減らします。これに対し税額控除は、住宅ローン控除や外国税額控除のように、「計算された税額から直接差し引く」制度で、同じ金額なら税額控除の方が減税効果が大きくなります。

Q3. 年末調整と確定申告の違いは何ですか?

A3. 年末調整は、主として給与所得者について、勤務先が1年分の給与・源泉徴収税額を集計し、扶養等の情報を踏まえて税額を精算する手続です。一方、確定申告は、年末調整を受けない人や、副業・不動産所得・医療費控除・株式譲渡などがある人が、自分で1年間の所得と税額を確定させる手続です。年末調整で完結していても、医療費控除やふるさと納税などのために確定申告を行うことができます。

Ⅱ 雑損控除・医療費控除・セルフメディケーション

Q4. 災害や盗難で家財に損害を受けた場合、税金は軽くなりますか(雑損控除)?

A4. 居住用の家屋や生活に通常必要な家財が、地震・風水害・火災・盗難・横領などで損害を受けた場合、一定額を超える部分を「雑損控除」として所得から差し引くことができます。損害額や保険金などの補てん額を踏まえて控除額を計算し、確定申告で申告します。災害減免法による税額軽減とどちらか一方を選択する形になります。

Q5. 医療費控除とはどのような制度ですか?

A5. 1年間に自己や生計を一にする家族のために支払った医療費が一定額を超えるとき、その超過部分(上限あり)を所得から差し引ける制度です。支払った医療費から保険金・給付金などで補てんされた額を差し引いた上で、所定の計算式により控除額を求めます。確定申告書に「医療費控除の明細書」を添付して申告します。

Q6. どのような支出が医療費控除の対象になりますか?

A6. 医師・歯科医師による診療・治療の費用、治療のための医薬品代、入院・通院に必要な交通費など、治療・療養に必要な支出が対象です(施行令207条)。美容目的の整形や健康増進目的のサプリメント、単なる人間ドック費用などは原則として対象外です。

Q7. 出産や妊婦健診の費用は医療費控除の対象になりますか?

A7. 分娩料・妊婦健診・入院費・出産のための交通費など、出産に直接関連する費用は、一般に医療費控除の対象となります。一方、里帰りのための家族の交通費やお祝いのための費用など、治療と直接関係しない支出は対象外です。

Q8. 介護施設の費用は医療費控除の対象になりますか?

A8. 介護保険制度による特養・老健などの施設サービスのうち、介護・看護などの「療養上の世話」に対応する部分は医療費控除の対象となりますが、食費・居住費・日常生活費などは原則対象外です。介護保険外の施設でも、医師等の指示に基づく療養上必要な介護部分は医療費控除の対象となるケースがあります。

Q9 在宅介護で医療費控除の対象となるものは何ですか?

A9. 訪問看護・往診・訪問リハビリ・在宅酸素療法など、医師等の管理下で行われる在宅医療に関する費用が対象となります。家事一般の支援や家政婦としてのサービスなど、医療と直接関係しない部分は対象外とされています。

Q10. 歯の治療や歯列矯正は医療費控除の対象ですか?

A10. 虫歯治療・差し歯・入れ歯・インプラント等、咀嚼や発音の機能回復を目的とした治療は医療費控除の対象になります。一方、審美目的のみのホワイトニングや美容整形的な矯正などは対象外です。成長過程の咬合異常を治すための小児矯正は、医療費として認められるケースが多いです。

Q11. 医療費控除の申告手続きで必要な書類は何ですか?

A11. 医療費控除を申告する際は、「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付します。健康保険組合等から送付される「医療費のお知らせ」が一定の要件を満たす場合は、明細書の記載を簡略化できます。領収書の提出・提示は不要ですが、税務署から求められたときのために原則5年間保存が必要です。

Q12. セルフメディケーション税制とは何ですか?

A12. 健康診断や予防接種などの「健康の保持増進・疾病予防の取組」を行っている人が、対象となるスイッチOTC医薬品を年間一定額以上購入した場合に、所得控除を受けられる制度です。通常の医療費控除とはどちらか一方のみ選択適用となります。対象医薬品はレシート等に専用マークや文言で表示されます。

Ⅲ 社会保険料控除・小規模企業共済等・保険料控除

Q13. 社会保険料控除の対象となる支払はどのようなものですか?

A13. 健康保険・介護保険・厚生年金・国民年金・国民健康保険・後期高齢者医療保険など、法令に基づく公的医療保険や公的年金の保険料が対象です(所得税法74条)。その年に実際に支払った金額や、給与・年金から天引きされた金額の全額を所得から控除できます。

Q14. 家族の国民年金保険料を私が代わりに支払った場合、社会保険料控除を受けられますか?

A14. 生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を、納税者が実際に支払った場合、その支払者側で社会保険料控除を受けることができます。支払先から送付される控除証明書等を基に、確定申告または年末調整で申告します。

Q15. 小規模企業共済やiDeCoの掛金は控除の対象ですか?

A15. 小規模企業共済・個人型確定拠出年金(iDeCo)などの掛金は、「小規模企業共済等掛金控除」として支払額全額が所得控除の対象となります(所得税法75条)。社会保険料控除とは別枠の控除であり、共済団体等からの証明書に基づき申告します。

Q16. 生命保険料控除の仕組みを教えてください。

A16. 生命保険料控除は、「一般生命保険料」「介護医療保険料」「個人年金保険料」の3区分ごとに支払額に応じた一定額を所得から控除できる制度です。旧契約・新契約で控除限度額が異なるほか、年末調整・確定申告で生命保険会社発行の控除証明書の添付(提示)が必要です。

Q17. 地震保険料控除ではどの保険料が対象になりますか?

A17. 居住用家屋と家財に係る地震保険料が対象です。火災保険に付帯する場合でも、地震保険部分に相当する保険料のみが控除対象となり、保険会社が発行する地震保険料控除証明書に基づき控除額を計算します。

Ⅳ 寄附金控除・ふるさと納税

Q18. どのような寄附が所得税の寄附金控除の対象になりますか?

A18. 国・地方公共団体・一定の公益法人・学校法人・社会福祉法人・認定NPO法人等への寄附のうち、所定の要件を満たすものが対象です。特定寄附金については、所得控除に加え、一定の税額控除を選択できる場合もあります。

Q19. ふるさと納税をすると所得税はどのように軽減されますか?

A19. 地方公共団体への寄附(ふるさと納税)は、自己負担2,000円を超える部分について、所得税の寄附金控除(または税額控除)と住民税の税額控除により負担が軽減されます。ワンストップ特例を利用しない場合は、確定申告で寄附金控除を申告します。

Q20. 政党や政治団体に寄附した場合の税制上の取扱いについて教えてください。

A20. 政党・政治資金団体等に対する一定の寄附金は、所得控除(寄附金控除)か、所得税額から直接差し引く「政党等寄附金特別控除(税額控除)」のどちらか一方を選択できます。控除率や控除限度額に違いがあるため、有利判定が必要です。

Q21. 認定NPO法人への寄附にはどのような優遇がありますか?

A21. 認定NPO法人等への寄附は、一般寄附金控除の枠組みに加え、一定の要件のもとで所得税額から直接差し引ける「税額控除」を選択できる特例があります。高い税率層では税額控除の方が減税効果が大きいことが多く、寄附者の所得状況に応じた選択が重要です。

Ⅴ 障害者控除・ひとり親・寡婦・勤労学生

Q22. 障害者控除とはどのような控除ですか?

A22. 納税者本人・同一生計配偶者・扶養親族が所得税法上の「障害者」に該当する場合、一定額を所得から控除できる制度です(所得税法79条)。区分は「障害者」「特別障害者」「同居特別障害者」に分かれ、控除額も異なります。16歳未満の障害のある扶養親族についても、扶養控除がなくても障害者控除は適用できます。

Q23. 要介護認定を受けていれば、必ず障害者控除の対象になりますか?

A23. 介護保険の要介護・要支援認定は、所得税法上の障害者判定とは別の制度です。実務上、医師の診断書や市町村長の障害認定、障害者手帳の有無等を総合して、税法上の障害者に当たるかを判断します。

Q24. 寝たきりの親を扶養している場合、追加の控除はありますか?

A24. 寝たきりで常時介護を要する状態で、所得税法上の特別障害者に該当する場合は、「同居特別障害者控除」として、通常の障害者控除よりも大きな控除額が認められる可能性があります。医師の診断書等で状態を確認し、年末調整や確定申告で申告します。

Q25. ひとり親控除の対象となるのはどのような人ですか?

A25. 婚姻歴や性別にかかわらず、一定の所得以下で、生計を一にする「子」がいて、配偶者と死別・離婚した後再婚していないか、事実婚状態にない人などが対象です。旧寡婦控除・寡夫控除の一部がひとり親控除に一本化されています。

Q26. 寡婦控除・寡夫控除は現在どうなっていますか?

A26. 令和2年分以後、男性女性を問わない「ひとり親控除」が創設され、従来の寡夫控除は原則として廃止されました。一部、子のいない寡婦については改正後も寡婦控除が残るなど、移行措置的な位置づけになっています。

Q27. 勤労学生控除を受けられる条件は何ですか?

A27. 学校教育法上の学校等に在学し、主として勉学に従事していること、合計所得金額が一定額以下であること、給与所得以外の所得が少額であることなどが条件です。配偶者控除や扶養控除と併用されるケースが多いため、家族全体での最適な控除選択がポイントになります。

Ⅵ 扶養控除・配偶者控除・基礎控除

Q28. 扶養控除の対象となる親族の条件は何ですか?

A28. 配偶者以外の親族(子・父母・祖父母など)で、納税者と生計を一にし、その年の合計所得金額が一定額以下であることが基本条件です。年齢が16歳以上であることが所得税の扶養控除の前提であり、特定扶養親族(19〜23歳)や老人扶養親族(70歳以上)には控除額の加算があります。

Q29. 16歳未満の子どもについて扶養控除は受けられますか?

A29. 所得税では、16歳未満の扶養親族について扶養控除は認められていませんが、児童手当等の子育て支援制度により補完されています。一方、障害を有する16歳未満の子については、扶養控除はなくても障害者控除の対象となり得ます。

Q30. 高齢の親を扶養している場合の、控除額について教えてください。

A30. 70歳以上の親は「老人扶養親族」に区分され、通常の扶養控除より控除額が大きくなります。特に同居老親(一定要件を満たす同居の親)については、別途加算が認められる仕組みがあります。

Q31. 配偶者控除が受けられる配偶者の年収ラインはどのくらいですか?

A31. 民法上の配偶者で、合計所得金額が一定額以下、生計を一にしていることなどが条件です。給与収入ベースでは、いわゆる「年収の壁」に関する議論がありますが、基準となるのは配偶者の合計所得金額であり、給与収入額に応じて段階的な取り扱いとなっています。

Q32. 配偶者特別控除とは何ですか?

A32. 配偶者控除の対象となる所得水準を超えた配偶者についても、一定の範囲内で段階的に控除を認める制度です。配偶者の合計所得金額が増えるにつれ控除額は少なくなり、最終的にゼロになります。配偶者控除と同時適用はできず、どちらか一方の選択になります。

Q33. 基礎控除はいくらですか。高所得者でも同じですか?

A33. 基礎控除は、すべての納税者に適用される人的控除で、令和2年以降、改正により控除額と適用要件が見直されています。一定以上の合計所得金額がある高所得者については、基礎控除額が段階的に縮小・ゼロとなる仕組みが導入されています。

Ⅶ マイホーム・住宅ローン控除等

Q34. 住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)の基本的な内容を教えてください。

A34. 個人が一定の要件を満たすマイホームの新築・取得・増改築のための住宅ローン等を利用し、その住宅に居住した場合、各年末のローン残高等に所定の率を乗じた額を、一定期間、所得税額から控除できる制度です。居住開始時期・住宅の性能(省エネ・認定住宅等)・床面積・所得要件などにより、控除期間や借入限度額が異なります。

Q35. 令和4年以降に新築住宅を取得した場合の主な適用要件は何ですか?

A35. 令和4年(2022年)以降の入居では、住宅の「環境性能」によって借入限度額や控除期間が細かく区分されています。

特に、令和6年(2024年)1月以降に入居する新築住宅については大きな変更があり、原則として省エネ基準を満たさない住宅(「その他の住宅」)は住宅ローン控除の対象外となりました。

(※ただし、2023年12月31日までに新築の建築確認を受けている場合は、2024年・2025年の入居でも控除の対象となる経過措置があります)

これから取得される場合は、その住宅が「認定住宅」「ZEH水準省エネ」「省エネ基準適合」のどれに該当するか、必ず確認することが重要です。

Q36. 中古住宅でも住宅ローン控除を受けられますか?

A36. 一定の耐震基準を満たす中古住宅であれば、住宅ローン控除の対象となり得ます。築年数要件を満たすか、耐震基準適合証明書や住宅性能評価書等により耐震性が確認できることがポイントです。

Q37. 自宅の増改築やリフォームにも住宅ローン控除は使えますか?

A37. 増改築・リフォーム工事でも、工事費が一定額以上で、居住用部分の割合等の条件を満たす場合には、住宅ローン控除の対象となります。耐震改修や省エネ改修、バリアフリー改修など、特に政策的に推進されている工事には、別途税額控除制度が設けられています。

Q38. 買取再販住宅を購入した場合の住宅ローン控除の扱いについて教えてください。

A38. 不動産業者が取得・改修し再販売する「買取再販住宅」についても、改修内容・耐震性等が一定の要件を満たす場合には、特例的に住宅ローン控除の対象となります。一般の中古住宅とは区分されているため、契約書や業者の説明で要件を確認する必要があります。

Q39. 省エネ・バリアフリー改修や多世帯同居改修に対する税額控除にはどのような種類がありますか?

A39. 住宅の断熱改修などの省エネ改修工事、手すり設置・段差解消などのバリアフリー改修工事、親子が同居できるようにする多世帯同居改修工事などについては、借入金を利用した場合の「特定増改築等住宅借入金等特別控除」と、工事費を基礎とした「住宅特定改修特別税額控除」が用意されています。対象工事・工事費の下限・入居期限などの要件がそれぞれ異なるため、工事内容ごとに確認が必要です。

Q40. 住宅ローン控除の対象となるローンの条件は何ですか?

A40. 主な要件は、①返済期間が一定以上であること、②マイホームの新築・取得・増改築等のために借り入れたものであること、③借入先が金融機関や勤務先など一定の者であり、親族や生計を一にする者からの借入でないことなどです。借換えローンの場合も、一定の要件を満たせば引き続き控除の対象となります。

Q41. 住宅ローンを借り換えたとき、住宅ローン控除はどうなりますか?

A41. 住宅ローン控除適用中のローンを別のローンに借り換えた場合でも、借入目的が引き続き当該住宅に係るものであり、残高・期間などが実質的に継続している場合には、借換後ローンについても控除を継続できるとされています。借換えの条件によっては一部が対象外となるケースもあるため注意が必要です。

Q42. 転勤で自宅に住まなくなった場合、住宅ローン控除は継続できますか?

A42. 単身赴任で家族が自宅に住み続ける場合など、一定の要件を満たせば控除が継続可能なケースがあります。一方、自宅を賃貸に出したり、長期間完全に居住しない状態が続く場合には、適用要件を満たさなくなることがありますので、個別に確認が必要です。

Q43. 離婚による財産分与で元配偶者の持分を取得し、ローンを組み直した場合の住宅ローン控除について教えてください。

A43. 財産分与により元配偶者の持分を取得し、新たに借入を行った場合でも、その借入が自己の居住用住宅の取得資金と認められれば、一定の要件のもとで住宅ローン控除の対象となる余地があります。一方、譲渡所得課税や贈与税との関係も生じ得るため、慎重な検討が必要です。

Ⅷ 外国税額控除・配当控除

Q44. 外国税額控除とはどのような制度ですか?

A44. 日本の居住者が海外で所得税に相当する税金を負担し、その所得に対して日本でも課税される場合、同じ所得に二重に税金がかからないよう、日本の所得税から一定額を控除する制度です。控除できる上限額は、外国所得が全体所得に占める割合などを用いて計算します。

Q45. 非居住者にも外国税額控除はありますか?

A45. 非居住者であっても、日本国内源泉所得に対して課された所得税・復興特別所得税と、外国で課された同種の税との二重課税を調整するための外国税額控除が定められています。居住者の場合と同様、控除限度額の計算が必要です。

Q46. 配当控除とは何ですか?

A46. 国内の株式等から受ける配当については、法人段階で既に法人税が課税されているため、その二重課税を調整する目的で設けられている制度です。配当所得を総合課税で申告した場合に、課税所得に応じた一定割合を所得税額から控除できます。申告分離課税を選択する場合は配当控除は適用されません。

Q47. 2024年から始まった「新NISA」とは何ですか?

A47. 2024年1月から、従来のNISA制度が抜本的に改正された「新しいNISA」が始まりました。主な変更点は以下の通りです。

1. 非課税保有期間の無期限化

2. 口座開設期間の恒久化

3. 年間投資枠の大幅な拡大(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円=合計360万円)

4. 生涯非課税限度額(1,800万円)の設定

NISA口座内で得た株式や投資信託の売却益・配当金(分配金)は非課税(税金がかからない)となるため、資産形成の強力な手段となります。なお、NISA口座での損益は、特定口座や一般口座の利益と相殺(損益通算)することはできず、損失の繰越控除もできません。

Ⅸ 研究開発税制・賃上げ促進税制(個人版)

Q48. 個人事業主が試験研究費を使った場合の税額控除はありますか?

A48. 青色申告書を提出する個人事業主が、事業に関する試験研究費を支出した場合、一定割合を所得税額から控除できる「試験研究費に係る所得税額の特別控除」が設けられています。適用対象となる試験研究費の範囲や控除率・限度額は、法人の研究開発税制と同様に詳細な要件があります。

Q49. 「給与等の支給額が増加した場合の所得税額の特別控除」とはどのような制度ですか?

A49. 青色申告者である個人事業主が、国内雇用者への給与等支給額を基準年度と比べて一定割合以上増加させた場合、その増加額に所定の控除率を乗じた金額を所得税額から控除できる制度です。賃上げ率や教育訓練費の増加などの条件を満たした場合、控除率が上乗せされる仕組みになっています。

Q50. 旧制度(給与等の引上げ及び設備投資を行った場合等の税額控除)との違いは何ですか?

A50. 旧制度は、令和元年〜令和3年の各年において、給与等の引上げと一定の設備投資や教育訓練費の増加を条件とする所得税額控除でした。令和3年度税制改正で、これが「給与等の支給額が増加した場合の所得税額の特別控除」に改組され、賃上げ率や教育訓練費要件などの枠組みが見直されています。

Ⅹ 申告実務に関する改正・その他

Q51. 個人事業主です。2024年から領収書の保存方法が変わったと聞きました(電子帳簿保存法)

A51. はい、2024年(令和6年)1月1日より、すべての個人事業主(青色・白色問わず)に対し、電子帳簿保存法の「電子取引データの保存」が義務化されました。これは、メールで受け取ったPDFの請求書・領収書や、ECサイトからダウンロードした領収書データなどを、紙に印刷して保存するのではなく、データ(ファイル)のまま保存しなければならないというルールです。

保存する際は、「日付・金額・取引先で検索できるようにする」「改ざん防止の措置をとる」などの要件を満たす必要があります。実務上は、これらに対応した会計ソフトやクラウドストレージを利用するのが一般的です。

Q52. インボイス制度が始まり、売上が減りそうです。所得税の計算で何か配慮はありますか?

A52. インボイス制度(2023年10月開始)への対応として、免税事業者からインボイス発行事業者(課税事業者)になった方向けに、「2割特例」という負担軽減措置が設けられています。これは、売上にかかる消費税額の2割だけを納付すればよい、という時限的な特例(令和8年9月30日の属する課税期間まで)です。この特例により、当面の消費税の納税負担や事務負担は軽減されますが、所得税の計算(売上や経費の集計)自体は従来通り行う必要があります。